そうして三月が待っていた

toppappo.hatenablog.jp
の続き



譲ってもらった本の中には、今までに読んだ事のあるものも無いものもあった。
懐かしさと新鮮さを感じながら、私はまた世界の扉を開いた。


その中に、「三月は深き紅の淵を」という本があった。

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

この本は4部構成になっており、登場人物は『三月は深き紅の淵を』というタイトルの赤い本と関連したストーリーを紡いで行く。
ストーリー中の『三月は深き紅の淵を』は幻の本であり、内容についても少し描写があるが、是非呼んでみたいと思うような内容なのである。
正直、一回目に読んだときにはかなり困惑した。同タイトルの本を作中に登場させる手法に脳がこんがらがった。

だがしかし。この本の魅了は一冊だけでは終わらない。
「三月~」の作中で現れた物語の断片は、
黒と茶の幻想」「麦の底に沈む果実」「黄昏の百合の花」
へと続いていく。

もちろん、「三月~」には書かれていない物語の断片がまだある。
この一冊の本だけで膨らむ物語の数に凄くワクワクしてしまう。読みたい読みたいと渇望してしまう。


これは「チョコレートコスモス」にも言えると思う。

チョコレートコスモス (角川文庫)

これはお芝居の話だが、オーディションで話が終わってしまう。
台本すら出来ていないオーディションの話で。
タイトルだけの台本も出てくる。

その一つ一つが気になるだけでなく、「誰がどう演じるのか」で全く違ってしまう世界なだけに、
チョコレートコスモス」の中の舞台を別の登場人物が演じたら・・・という所にも想像の余地がある。


ただ残念なことに、「三月は深き紅の淵を」も「チョコレートコスモス」も続編はまだ出ていない。
雑誌の休刊とかもあるものの、どうにかして続編をと強く祈るばかりである。
(出来れば常野も続きをと望んでいる)